~ひとりぼっちの少女が出会った"カブ"と色彩豊かな日常の景色~
趣味も無い、友達もいない。飾り気のない部屋に一人で住み、質素な食事で腹を満たすだけの単調な日々を送っていた主人公・小熊。
通学の足のためにバイクを探しに来た彼女は、古びた販売代理店でそのバイクに出会います。
―――"スーパーカブ"。
興味はなくとも一度は聞いたことがあろう有名なオートバイ。倉庫の奥から出されてきたその古びたバイクはどうやら訳アリのようで、それでも、金欠の彼女は値段を聞いて即決します。
バイクそれ自体に関心はなさそうな様子でしたが、その"カブ"に跨った瞬間、彼女の視界は色彩を持ち始めます。
いつもより遠出してみる。初めての店に行ってみる。最初は小さなことでも、やってみようと思えて、それをやってみることができる。そう、それはカブがあるから。
カブを通して、移ろう季節を肌で感じて、そして悪友(?)もできた。単調な日々の繰り返しだったはずの毎日に少しずつ彩りが生まれていく、そんな様子が初々しくも丁寧に描かれます。
次第に積極的に、また表情が豊かになっていく彼女がとても微笑ましく、ぜひ注目してほしいポイントです。(かなり大胆になるのはご愛嬌。)
小熊が手に入れたカブは中古なこともあり、オイルを交換したり、必要になったパーツを手に入れたりと、どうやら手間も時間もかかるよう。
その様子すら日常風景へ丁寧に溶け込ませることによって、手がかかる、だからこそ良い、というカブらしさ(?)も随所に描き出されます。そんなリアルで奥深いカブの魅力を感じさせてくれるのも、この作品の特徴であり渋さであり、惹き込まれるような魅力を感じます。
カブとの出会いにより色を持ち始めた少女の日常、そしてカブが、カブだからこそ作り出せる"風"を感じてみませんか?
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